5月 18
スタッフおすすめ, 本店

 4月5日に紹介した「やがて海へと届く」の感想を遅ればせながら書く。友人の死に対する思い、生きていた時以上に思いやる気持ちと忘れることへの不安そして後ろめたさとの葛藤を描いている。東日本大震災がモチーフとなった小説である。文章はやはり美しい。章立てが複雑で幻想シーンが織り交ぜられていて実に難解。修飾語が散りばめられた文章がさらに拍車をかける。文字を上辺だけ読んでいると途中から迷宮に迷い込む。文字から理解せずその奥にある感情を自然体で受け止めることが良いと感じた。文章に左右されてはいけない。最終章は物足りなかったが(う)

書名 : やがて海へと届く
著者 : 彩瀬まる