2月 01
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洋泉社/室井 康成 (著)/1,944円

蘇我入鹿から西郷隆盛まで・・・。
政治的敗者の首の行方は・・・?

政治闘争、戦(いくさ)で敗れ、梟首された首は、その後の行方について史書(公式の歴史)にはまったくと言っていいほど記載がありません。ゆえに、民間伝承として一人の人間の首塚が複数個所あるものもあります。大蔵省やGHQを恐れさせた平将門の首塚は、東海地方から関東に至るまで複数あり、もっとも有名なものは東京丸の内にある首塚ですが、名古屋では熱田神宮にもあるそうです。

平将門、源義経、楠正成、新田義貞、明智光秀、石田三成、大谷吉継、近藤勇、西郷隆盛。彼らは敗れ、その首は無残にも梟首されますが、やがて民衆のヒーローになり、彼らの首は信仰の対象となり、そして各地の古墳や塚が、彼らの首塚として仮託されていきます。本書はその過程や理由を詳細に解説。

先の大戦で戦死・外地で行く不明になった親類縁者がおり、また不本意な理由でアカデミズムから去った筆者が向ける「敗者」に対する優しいまなざしが、おどろおどろしいタイトルとは趣を異にする、おすすめの一冊です。